Ethical shop
7つ(Sep)の大陸の良いものに光(lúmo)を当てる
Seplúmo
世界7大陸のエシカルな活動を行っているブランドのセレクトショップの運営を行っている若山さん。セレクトショップだけでなく、イチゴ栽培やゴミ問題への取り組みなど、幅広く活動を行うようになった壮絶なきっかけとは。
7つ(Sep)の大陸の良いものに光(lúmo)を当てる
世界7大陸のエシカルブランドを集めたセレクトショップ「Seplúmo」の運営を行っている若山さん。セレクトショップだけでなくネパールでのいちご栽培やゴミ問題への取り組みなど、その幅広い活動内容についてお話を伺いました。
ここは、作り手の「こころ」が覗ける場所。
参加者
Eris 米山
Seplúmo 若山
– Seplúmo 若山
Seplúmo「セプルモ」は、”世界中のいいものに光を当てる”をコンセプトに、世界7大陸のエシカルブランドを集めたセレクトショップの運営を行なっています。そのほかにもネパールでいちご栽培の事業運営も行ったりしています。
– Eris 米山
Seplúmoの商品はどのような基準でセレクトされているのですか?
– Seplúmo 若山
Seplúmoでは8つの基準を設けていて、ブランドさんがこだわっているポイントをわかりやすく伝えられるように工夫しています。
それと同時に、Seplúmoではどのような人たちがどのような想いで作られているのかを知っていただきたく、ブランドさんから写真をいただいたり、ブランドストーリーを載せて商品を掲載しています。
seplúmoの設ける8つの基準
– Eris 米山
8つの基準以外にも、国別に商品を検索できるのは他のセレクトショップにはない機能で印象的でした!国ごとに商品をセレクトされている理由はあるんですか?
– seplúmo 若山
昔セブンサミッター※を制覇する挑戦を行なっていました。それがきっかけでいろんな国に行くようになり、それぞれの国の伝統的な物・文化や素敵なブランドに出会ってきました。そのような経験があり、商品を通してその国自体にも興味を持ってもらいたいと思い、国別の検索機能を設けています。今はまだ20ヶ国ほどの商品しか扱えていませんが、もっと増やしていきたいですね。
※セブンサミッター・・・世界7大陸の最も標高の高い山をすべて登頂した登山者
国別にアイテムを分類
– Eris 米山
それぞれの国で違ったものづくりの方法が見れて面白いですね!
– seplúmo 若山
そうなんです!例えばインドにはブロックプリントという印刷方法があり、ハンコのようにインクを押し付けて印刷するんです。その国ならではの技法だったり伝統工芸品をこれからも掲載していきたいです。
象のうんちからできた紙「プープーペーパー」
– Eris 米山
Erisでも伝統工芸の取材はやってみたいなと思っていました。やっぱり伝統工芸って職人さんの想いの結晶ですもんね。
先ほど、セブンサミッターに挑戦していたとおっしゃっていましたが、登山のきっかけはなんだったんですか?
– seplúmo 若山
ある方に、「人生は山あり谷あり、頂上から次の頂上を探したり、山登りみたいなんだよ」と言われて長野県の燕岳に登ったのが最初の登山でした。その時にすごく達成感があり登山にハマっていきました。そこからエベレストを目指している登山仲間と出会い、それに影響されてセブンサミッターに挑戦するようになりました。
山って特殊な空気が流れているんです。山にいる人みんなが同じ頂上を目指していてある意味平和で、でも自然の脅威による死が真横にあって、哲学的にも色々考えさせられる場所です。
登山中の若山さん
– Eris 米山
昔、イッテQでイモトさんが挑戦している映像を見て、映像からでも山の怖さや緊張感が伝わってきたのを覚えてます。
– Seplúmo 若山
私も2014年にアコンカグアに登ったのですが、あの山にテレビの撮影を行いながら登られたのが信じられないです。カメラマンさんもすごいし、イモトさんもタレントの域を超えてますよね。
私が山に登っている時は、チームのみんなでイモトさんの映像を見ながら元気をもらっていました!
特にマナスルは、雪崩が多い山なのでテレビが入るような山じゃないんですよ笑
– Eris 米山
そんな山で特に印象的だった思い出はありますか?
– Seplúmo 若山
2015年のエベレストチャレンジです。このチャレンジが私の人生を大きく変えましたね。
ネパールにあるエベレスト登山中に、ネパール大地震が起きたんです。
– Eris 米山
え…?
– Seplúmo 若山
その時私のチームは6300m付近のベースキャンプにいました。ベースキャンプを出ると、氷がぱっくり割れていたり、雪崩の音が聞こえたりしました。その日はたまたま全隊ベースキャンプにいて誰も登山をしてなかったので、みんな無事でした。本当に奇跡でした。
– Eris 米山
ネパール大地震は日本でも大ニュースになっていました。みなさん無事だったのは本当に奇跡ですね。
– Seplúmo 若山
本当に奇跡でした。
そしてネパールのカトマンズに戻ってきた時に、避難所のホテルの庭にテントがあり、家が崩れてしまった人など多くの被災者が集まっていました。そんな光景を見て、このまま何もなかったかのように日本に帰って普通に生活を行うことに対して違和感を感じたんです。そしてネパールで”ボランティアではなく持続可能なビジネスで一緒に何か行いたい”、と思い日本帰国後に事業計画を始めました。
– Eris 米山
言葉では表せないくらい壮絶なきっかけですね。
そこから”いちご作り”が始まったのですか?
– Seplúmo 若山
そうです!
ネパールは豊かな労働力と自然がいっぱいあるのでそれを生かした事業を考え、“農業”をやろうと決めました。ネパール産業の大半は農業なのですが、生産性が低いためインドからの輸入に頼らざるを得ない状況になっています。そんなこともあり、ちゃんとお金になる果物を作って現地の富裕層に届けることで、村でお金を稼げるようになり、若者が違う国へ出稼ぎにいかなくてもいいような仕組みを考えました。
それが”いちご作り”のきっかけです。
– Eris 米山
そこからいちご作りはどのようにスタートしたのですか?
– Seplúmo 若山
いちごはカカニ村で育てているのですが、この村にはすでに何十年か前に日本の団体がいちごの苗を持ってきていました。もうすでにその団体は撤退していて、現地の人だけで育てている状況でしたが、そこに一緒にプロジェクトを行うお誘いをすると少しずつ農家さんが集ってきました。今では170以上の農家さんと一緒に取り組んでいます。
カカニ村で生産している「HIMEBERRY」
– Eris 米山
いちごを一緒に育てませんかとお誘いした時の反応はどうでした?
– Seplúmo 若山
ネパールの方は日本への信頼がとてもあるので期待してくれました。
しかし彼らは、日本から資源や仕事をもらい続けてきたがため、今回も何かもらえるのだろうと受け身になっていました。そのため、ボランティアではなく、“一緒”に頑張っていちごを育てるんだよ!という意識改革が大変でしたね。
「win-winの関係じゃないとお互いに潰れてしまうし、努力しなければ収入も増えない、私たちはチームなんですよ!」と今でも伝えてます。
カカニ農場の様子
– Eris 米山
海外で会社を起こす時にカルチャーギャップなどの苦労はありましたか?
– Seplúmo 若山
文化の違いはものすごくありました。
連絡が遅い、仕事が遅い、お金ばっかり求めてくる、賄賂を求められる、、色々です笑
– Eris 米山
ものすごい出てきそうですね笑
– Seplúmo 若山
最初はスピード感のギャップに悩まされました。農家の方も行政の方も全てが遅いんです笑
他にも、ビニールハウスを30塔建てた時に驚いた事件がありました。ビニールハウスはネパールの方に建てていただいたのですが、完成したビニールハウスを見てみると下が全部開いていたんです。ビニールハウスは密閉されているから機能するのに全部開いちゃっていた事には驚きました。
– Eris 米山
下が全部開いていたらただの雨よけですね笑
以前、同じく海外でブランドを立ち上げた方にお話を伺った時にも、一番のカルチャーギャップは“遅さ”と言っていました。しかし逆にそれがその国の良さでもあると言っていました。
– Seplúmo 米山
そうなんですよね。
せっかちになってしまう日本人と真逆でネパール人は温厚で人情深く、私が日本に帰っている時もすごく気にかけてくれて、メッセージと一緒に写真もいっぱい送ってくれたり、離れていても近くにいるように感じますね。
なので最近は、ネパールの文化を通して心に余裕を持てるような取り組みも行いたいと思っています。
若山さんとネパールのみなさん
– Eris 米山
ネパールにはどのくらいいかれているのですか?
– Seplúmo 若山
3ヶ月に1回ほど行っています。
ネパールではいちご栽培以外にも”クリビオ”という有機肥料をネパールの農家に広める取り組みを行っています。この肥料は愛媛県の会社で作られたのですが、微生物を活用した有機肥料で人が飲んでも大丈夫なくらい安全なんです。そんな“クリビオ”をネパールの農業にも活かしていきたいと考えています。
多用途消臭・洗剤様々なシーンで活躍
– Seplúmo 若山
あとはネパールのゴミ問題に関する取り組みも考えています。今のネパールはゴミのダンピングサイトしかなく、焼却場がないんです。ゴミ山が問題になり、匂いもひどくて地域の住人からは苦情もきています。そんな現状を変えるために焼却場を作るプロジェクトを行なっています。
ネパールって上を見たらヒマラヤ山脈がありすごくキレイなのに、下を見たらゴミだらけでシンプルにもったいないと思ったのがきっかけでした。
– Eris 米山
本当にさまざまな事業に取り組まれているのですね。
– Seplúmo 若山
Our Farms株式会社では、Seplúmoの運営といちご栽培の二つを行なっています。ゴミ問題は別の会社を立ち上げて行う予定です。
その他にもネパールの特定技能実習生を日本に招き、日本の農業を支えられるサービスを考えています。日本の農業発展に貢献でき、ネパールの人も日本の技術を持って帰れるwin-winの仕組みを作っていきたいです。
ネパールは農業が盛んなこともあり、現地の若者は農業に関心が高いです。日本の技術を取り入れたいという人も多いんです。
– Eris 米山
様々な社会問題に興味を持たれてサービスを作られていますが、いつから世界の問題や環境問題に興味を持たれているのですか?
– Seplúmo 若山
それは小学生の頃からです。母親の影響で環境の話や、少年兵の話とか、不発弾の話などは小さい頃から耳にしていました。その影響で国際関係の仕事に就きたいと考えていました。
幼少期は「かわいそうだから」とある意味上から物事を見ている部分がありましたが、今は違い、それぞれのいい部分を伸ばしていける社会貢献のやり方を日々模索しています。
ネパールの農家さんにも私の考え方が伝わったおかげで、”チーム”としてとてもいい関係が築けています。
– Eris 米山
最後になりますが、Seplúmoさんの思い描いている未来や展望があれば教えていただきたいです。
– Seplúmo 若山
Seplúmoで取り扱う商品を増やしていきたいです。まだまだ「エシカルって何?」という方もいると思いますが、
「プレゼントするならエシカルなものにしよう」
「自分もたまにはエシカルなもの使ってみよう」
とか、ものの選び方が少しでもエシカルな方向に向かうように頑張っていきたいです。
Ethical shop
Seplúmo
世界7大陸のエシカルな活動を行っているブランドのセレクトショップの運営を行っている若山さん。セレクトショップだけでなく、イチゴ栽培やゴミ問題への取り組みなど、幅広く活動を行うようになった壮絶なきっかけとは。
Accessory
renew
社会の環境に対する問題意識が高まる一方、様々な「モノ」がその行き場を失い、
それらに込められた作り手の魂、こだわり、感情が蔑ろにされている現実。
その背景には作り手の「つくる責任」、社会・環境に対する責任を全うしてこなかったことが理由の1つかもしれません。
環境とモノづくりの調和を追求し、持続可能なモノづくりのあり方に、1つの解を示したい。
作り手に代わり、社会に対して環境問題に関する啓蒙を行い、「モノ」の歴史、作り手の魂を継承していくことが、renewの使命であると考えています。
海、地球で起きている様々な問題について少しでも多くの人に「知ってもらうキッカケ」として。
Handcraft
ミルクぱく子
ミルクぱく子さんは使い終わったあとの牛乳パック・豆乳パックをなめし、ミシンでバックや財布などのアイテムを素敵にアップサイクルしているハンドメイド作家さん。子育てと両立しながら、作家活動をされています。
– Eris 米山
Seplúmoが作る「こと」について教えてください。